スピーカーケーブルの太さは断面積(SQ、単位はmm²)またはAWG(ゲージ)で表され、AWGは数字が小さいほど太いケーブルです。ケーブルが長いほど、またスピーカーのインピーダンス(Ω)が低いほど、細いケーブルでは抵抗による損失が目立ちやすくなります(一般的な物理の説明)。
この記事では、SQとAWGの読み替え、長さと損失の関係の計算例、メーカーの説明書で確認できたこと・できなかったことをまとめます。
(確認元:デノン DRA-900H 取扱説明書「スピーカーを接続する」・AVR-X1800H 取扱説明書「スピーカーを設置する」、AWGの定義(American Wire Gauge、ASTM B258 に基づく計算式)。確認日:2026年10月29日。メーカーが推奨する太さ・長さの数値は、確認した資料には見つかりませんでした。下の数値の多くは「一般的な説明」と計算例です)
SQ と AWG の読み方
SQ(スケア)は導体の断面積をmm²で表したものです。0.3SQなら断面積0.3mm²で、数字が大きいほど太くなります。AWG(ゲージ)はアメリカの規格に由来する表し方で、数字が大きいほど細くなります。AWGの直径は、0.127mm × 92^((36−n)/39)(nはAWGの番号)という式で決まっており、ここから断面積を計算すると次のとおりです。
| AWG(ゲージ) | 直径(mm) | 断面積の目安(mm²) |
|---|---|---|
| 10 | 約2.59 | 約5.26 |
| 12 | 約2.05 | 約3.31 |
| 14 | 約1.63 | 約2.08 |
| 16 | 約1.29 | 約1.31 |
| 18 | 約1.02 | 約0.82 |
| 20 | 約0.81 | 約0.52 |
| 22 | 約0.64 | 約0.33 |
これは単線(1本の太い導体)の計算値です。より線(細い線を束ねたケーブル)のAWGは「同じ断面積の単線に当たる番号」で決まり、細線の間にすき間があるため、外径は同じAWGの単線より少し太くなる、と説明されています。商品の表記は、メーカーやお店によってSQとAWGのどちらかだけ、または両方が書かれています。換算の数字は目安として使い、商品ページの数値を優先してください。
長さと太さで損失はどう変わるか(計算例)
導体の抵抗は、長さに比例し、断面積に反比例します。スピーカーケーブルは行きと帰りの2本の導体を通るため、5mのケーブルなら導体の長さは合計10mです。銅の電気抵抗を0.0172Ω・mm²/m(一般的な値)として、5mの場合の抵抗と、スピーカーに対する電圧の損失の割合を計算した例です。
| ケーブル(5m) | 導体の抵抗の合計 | 8Ωのスピーカー | 4Ωのスピーカー |
|---|---|---|---|
| AWG18(約0.82mm²) | 約0.21Ω | 約2.5% | 約5.0% |
| AWG16(約1.31mm²) | 約0.13Ω | 約1.6% | 約3.2% |
| AWG14(約2.08mm²) | 約0.08Ω | 約1.0% | 約2.0% |
表のとおり、同じケーブルでも、4Ωのスピーカーは8Ωのスピーカーより損失の割合が約2倍になります。長さを2倍にすると、損失の割合もほぼ2倍です。ただし、この数値がどの程度の音の違いとして聞こえるかは、今回の資料では確認できていません。計算は常温の銅線で、端子や接触の抵抗は含んでいません。
メーカーの説明書で確認できたこと
デノンの DRA-900H の取扱説明書で、スピーカーケーブルの接続について書かれていたのは、次の点でした。
- ケーブル先端の被覆を10mm程度はがし、芯線をしっかりよじるか、端末処理をする
- 芯線がスピーカー端子からはみ出さないように接続する。芯線が背面パネルやねじに触れたり、+側と-側が触れたりすると保護回路が働く場合がある
- スピーカー端子を左に回してゆるめ、芯線を根元に差し込んで、右に回して締める
確認した範囲では、この DRA-900H の接続の項目と、AVR-X1800H のスピーカー設置の項目に、推奨する太さ(SQ・AWG)や、使えるケーブルの最大の長さの数値は書かれていませんでした。今回確認できたのはデノンの資料のみで、他社の資料は未確認です。数値が必要な時は、お使いのアンプとスピーカーの説明書、メーカーのよくある質問を直接確認してください。
DRA-900H の同じページには、スピーカーのインピーダンスについての記載もありました。「スピーカーはインピーダンスが4〜16Ωのものを使用してください」とあり、4〜6Ωのスピーカーを使う場合は、本体のボタン操作でインピーダンスの設定を変える手順が書かれています。お買い上げ時の設定は8Ωで、4Ωのスピーカーをつなぐなら「4ohms」を選ぶ、という内容です。ケーブルの太さとは別の話ですが、低インピーダンスのスピーカーを使う時に見落としやすい点です。設定の名前や操作は機種ごとに違うため、お使いのアンプの説明書で確認してください。
なお、上の損失の計算は、ケーブルの抵抗だけを見た簡単な例です。アンプの出力インピーダンスやスピーカー側の特性まで含めた音の違いは、この記事では扱っていません。太さを決める時は、まず必要な長さと、スピーカーのインピーダンスを確認し、その上で商品ページのSQまたはゲージの表記を比べる、という順番が分かりやすくなります。
選ぶ時の確認点
- 置き場所からスピーカーまでの経路を測り、必要な長さを決める。余裕を持たせる場合も、必要以上に長くしない(長いほど抵抗が増える)
- スピーカーのインピーダンスを確認する。4Ωなど低いスピーカーでは、同じ長さでも損失の割合が大きくなる(上の表)
- 左右のスピーカーでは、長さをそろえる考え方が一般的です(メーカー資料では確認できていません)
- アンプとスピーカーの端子が、芯線を差し込む形か、バナナプラグなどに対応した形かを確認し、ケーブルの太さが入る端子を選ぶ
- SQとAWGの表記を、上の表で換算して比べる。商品ページに「ゲージ」とだけ書かれている場合は、AWGを指すか、ページで確認する
被覆のむき方、+と-の合わせ方はスピーカーケーブルのつなぎ方、インピーダンスの確認はスピーカーのインピーダンスとアンプの組み合わせで説明しています。スピーカーを置く位置はホームシアターのスピーカー配置で説明しています。
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まとめ
- SQは断面積(mm²)、AWGは数字が小さいほど太い。AWG16は約1.3mm²、AWG14は約2.1mm²が目安
- 長さが2倍になれば損失の割合もほぼ2倍。インピーダンスが半分になれば割合は約2倍
- 確認したデノンの説明書のページには太さ・長さの数値はなく、被覆のむき方と端子への差し込み方が中心
- メーカーの数値が見つからない場合は、お使いの機器の説明書とよくある質問で確認する


